私にとって初めての本格万年筆はPILOTのLucina (ルシーナ)でした。かれこれ7年以上の付き合い。
カクノで万年筆の世界にまんまと誘い込まれた当時の私は、万年筆らしい雰囲気のThe万年筆が欲しくなったのです。
予算1万円ほどで万年筆屋さんへ向かいました。そこで私はルシーナと出会うのでした…
私が ルシーナ を選んだ理由
ルシーナは税抜き5,000円で万年筆としては比較的安価な部類に入ります。
予算1万円前後であれば選択肢もある程度広がりますが、私は一目惚れでルシーナを選びました。
当時、購入に際して私が条件としていたのは以下の点でした。
- 小ぶりな万年筆であること
- ニブが金色であること
- ニブにクラシカルな刻印があること
- キャップがネジ式であること
- イエロー軸であること
私の中で万年筆はクラシカルなイメージ。カクノのような近代的なデザインのペンも好きですが、この時はThe万年筆を求めていました。
そしてショーケースに並ぶ ルシーナ はその条件全てを満たしていたのです。
試筆をさせてもらうと太さや描き心地もちょうどよく即決でした。
ブラック以外の軸色はペン先Fのみなのですが、お店の計らいでMに交換してもらうことができました。感謝。
(日本製品のFはかなり細字なのでインク感を楽しむには少し物足りないのです。)
そんな感じで使いはじめて7年が経ちました。
その間、他の万年筆も買い足していますが現在も使い続けているガチのお気に入りペンです。
それでは素敵ポイントの詳細を見ていきましょう!
深みのある鮮やかなイエロー軸
ルシーナの特徴といえば軸カラー。スタンダードなブラックの他に、ブルー、レッド、イエローの3色というカラフルなラインナップです。
一見ポップな印象ですが、有彩色の3色はいずれも深みのある色合いになっています。
鮮やかでありながらほんの少し暗いトーンで万年筆の重厚なイメージに馴染んでいるように感じます。
文字や写真ではおそらく伝えられないニュアンスなので、興味がある方はぜひお店に見に行ってほしいです…!
イエローが最高ですが朱色っぽいオレンジ味のレッドも良い…
イエローはクリップなどのゴールドパーツととても相性の良い色で、ずっとニヤニヤしながら見ていられます。
軽すぎず、暗すぎず、本当にきれいな黄色。開発時にこのイエローを提案した人にお礼を言いたいです。
手持ちのイエローやブラウン系の万年筆と比較するとこんな感じ。
ラミーサファリの旧イエローに近い。けどラミーの方が若干彩度が高いという感じです。
ちなみにサファリ現行イエローと比べるとこんな感じ。
上がラミーサファリ旧イエロー、下がラミーサファリ現行イエローです。
シャープペンS3のイエローとも相性がなかなかいいです。よければS3の記事もご覧ください。
https://karashi-soell.com/press/pilot-s3/
レトロな雰囲気の雨垂れクリップ
PILOTを象徴する(?)、“雨垂れクリップ”。
先端に玉がついたレトロな雰囲気のクリップです。これは好みが分かれるところかも。
私はこのクリップが大好きです。上品さや可愛らしさがあり、さらに万年筆であることを感じさせます。
アクセントとなるアクセサリーを付けているような…
英字を縦書きしているところもレトロな感じがしていいですよね!
ちなみに、カスタムシリーズのクリップとは少し形が異なっています。
そしてこのクリップ、ペンを横に向けたとき表情が変わります…
なんということでしょう!
正面では面だったクリップが、横では線になり、その先にぽちっと丸い玉がついたかたちになります。
これ、めちゃくちゃに可愛くないですか…?
もっと近くで見てください。
幾何学的な図形で構成されたかたちに加え、このゴールドとイエローの相性。そしてそれを締める黒。
これを作った人たち、どうかお礼を言わせてください。ありがとうございます。
7年間ずっと感動しています。
全体で見ても近くで見ても本当に可愛い。
黒で引き締めるキャップリング
先ほど少し書きましたが黒いキャップリングや尻軸、天冠がとてもいい仕事をしています。
鮮やかな軸をきゅっと引き締めて万年筆らしい高級感を出しているように感じます。
キャップリングには筆記体で“Lucina”の文字とブランドロゴが入っていて、透明な樹脂で少しぷくっとコーティングしてあるようです。
ちなみに天冠にロゴなどは無く、ツヤっとした黒になっています。PILOTは上位製品でも天冠にロゴは入れない派ですよね。
シンプルイズベスト的な感じで潔くて好きです。
万年筆らしさを感じるニブ
ニブのアップの写真ってたまらないですね!
このアンティーク感のある刻印が『万年筆』って感じがします。
(余談ですがペリカンのスーべレーンのニブはかっこよさの極みです。)
ルシーナのニブは特殊合金の金メッキ仕上げなのでいわゆる鉄ペンです。
私は金ペンが欲しかったわけではなく、見た目がゴールドのニブがよかったので不満はありません。
実際、書き味は鉄ペンでも素晴らしいです。
ルシーナのニブはペンポイントに向かって緩やかにカーブしています。これにより紙に当たった時のクッション性も感じることができます。
しなり過ぎず硬すぎずでちょうどいいバランスだと感じます。
※金ペンと鉄ペンどちらが書きやすいか等は人それぞれ異なり複雑なので言及しません。
クリアな視界を確保するペン芯形状
PILOTのペン芯はペンポイントに近づくほど薄くなっていくので、描いている点が見やすい(気がする)ので気に入っています。
ペン先がすっきりしているのはいいことです。
他のメーカーよりクシ溝が少ないですが、以前飛行機に乗った際もインク漏れはしませんでした。
軽量な樹脂製ボディ
ルシーナはクリップやニブ、装飾パーツ以外はすべて樹脂製です。首軸の内部も樹脂。
製造コストの点もあると思うのですが、すべて樹脂であることによってかなり軽量です。
コンバーター無しの状態で約13g。
軽いので鉄ペンであることと合わせてとても気軽に使えます。
コンバーターは今はCON-40を使っています。
見た目がCON-50の方が好きで使っていたんですが、廃盤になってからなんとなく保管しています。笑
CON-50はネットでたまに売っているのを見ますが金額がかなり高騰しているので買うならCON-40が無難です。
入門にして終着点
メーカーが「スタンダードタイプ」というくらいですからルシーナは入門には打って付けの万年筆かと思います。
価格もお手頃なのでなおさら。私の万年筆入門もルシーナです。
万年筆、ハマると楽しくていろいろ欲しくなったり買い足したりしてしまいますが、ルシーナからインクを抜いて眠らせたことはこの7年で一度もありませんでした。
色々なペンがあって、心底 “みんな違ってみんないい” のですが、思い入れも含め私にとってルシーナは特別です。
入門で買った万年筆が一種の終着点だったのだなあとしみじみ思う秋の夜でした。
まとめ「 PILOT Lucina 」
- クセがあまりないスタンダードな使い心地
- でも万年筆らしさを楽しむことができる
- 未だに総合評価でルシーナを超えるペンに出会っていない(カラシ調べ)
- 万年筆の価値は価格ではない
PILOT公式サイト:https://www.pilot.co.jp/products/pen/fountain/lucina/index.html